同窓会小説?!『君の友だち』

こんにちは!ひろさんかくです。

泣けるストーリーが多い重松清さんだが、いつも、最愛の人との悲しい別れが物語の起点になるので、可能な限り、元気な時に読むようにしている。今回『君の友だち』を読んだが、珍しく、短編小説的な構成、しかも、各章ごとに「きみ」という主人公が変わりながら、登場人物達も少しずつ絡み合っていく。早読みの私には、登場人物が多いと、たいてい訳が分からなくなるが、今回は、いかに?

『君の友だち』重松清著

概要

事故で足を悪くした女の子が幸せになるまでの物語。この女の子の友達やクラスメートだけでなく、弟やその友人達が入れ替わり「きみ」として、各章の主人公になる。主人公になる回数と最終章、エピローグで、この女の子の物語であったのかと分かる。

感想

この物語には、本当にいい奴、いい子と言えるのは、可哀想な運命を背負った主人公の親友だけのようだ。そうだからと言って、他の登場人物が、悪い人間だったり、性格が歪んでいるわけではない。

小学校〜中学という、野生のような世界に初めて親から離れ放り投げられた子供達による、生き残りのための処世術のような、戦いの物語でもある。友達はたくさん欲しい。唯一無二のような親友も欲しい。クラスの番長角のような人間にはなりたくないが、睨まれたくはない。そのためには「みんな」と同じように、多少、心が痛むこともしないといけない。

一方で、そんな「みんな」とは一線を画した主人公がいる。子供達の世界では、このような異端児は浮いてしまう。浮いてしまうことに意を介さないので、より「みんな」と呼ばれる人達と交わりにくくなる。そんな中でも、自分というものを失わず、本当に大切な友人との日々を生きる主人公。のような話である。

誰もがそうかもしれないが、この本を読むと、自分自身の小学生や中学生時代を思い出してしまうかもしれない。私の場合、目立つ存在ではなく、お世辞にも、運動も勉強も喧嘩も性格も飛び抜けて良いわけでなく、友達も少なかった。その時代の友人とは、今や、誰一人、連絡先も知らないくらいだ。

でも、一人で生き延びるために、必死だったと思う。だれか一人、悩みや困ったことを相談できる人がいたら、もっと違っていたと思うが、あの頃は、人に弱みを見せないことが、人に迷惑をかけない生き方と誤解していたのだと今さらながらに思う。

エピローグについて

最初、このエピローグはいまひとつ楽しめなかった。それまでの各章から、時がすぎているとはいえ、場面の雰囲気など違和感が大きいと感じた。

もう一度、エピローグをゆっくり読んだときに、これは、同窓会のように、亡くなった親友との再会であり、親しい友人達との本当のお別れ会でもあるような印象あり、泣きそうになってしまった。

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