「読み始めたら止まらない『未来』by 湊かなえ」なぜ?

こんにちは!

先日「読み始めたら止まらない『未来』by 湊かなえ」で、この小説を絶賛した。事実、読んでいてとても面白かったからだ。何が面白かったかと言うと「登場人物のキャラが立っていること」と、もちろん「結末が知りたくて引き込まれるような著者のストーリー・テリング・スキル」にだ。

あれから1週間くらい経ち、冷静に振り返ってみる。極めて少ない、私のブログの読者が、私の絶賛を真に受けて、本を買ってしまうとも限らない。後々、つまらないと思われたら、非常にかたじけないからだ。

先日のブログでも書いたが、この本は、元気でないと読むのはしんどいかもしれない。そう、この小説は、読み手の好みだけなく、読み手のコンディションさえ選ぶのだ。

なぜなら、物語に出てくる登場人物の子供たちが全員、不幸で悲惨だからだ。著者の登場人物設定の定番でもある「シングルマザーやファーザー、貧困、虐待、いじめ」がこれでもか!と出てくる。と言うより、この物語に出てくる少年少女のほとんどが類似の問題を抱えている。

両親がいても、裕福であっても、虐待やいじめや家庭内の不安定さは、片親家族のそれらとあまり変わらない設定だ。

世の中のほとんどの家庭は、不幸で貧困で、子供はいじめられたり、虐待されているような錯覚すら覚えるかもしれない。読んでいて、この部分があり得ない!と気になり出したら、もう、おしまい。読んでも、つまらないだろう。

ただ、読み物として、この後、主人公はどのようになるだろう?と好奇心を持って読めると楽しめるような本だ。

イヤミス?

この湊かなえさんの作品は「嫌ミス」とか「イヤミス」と呼ばれるらしい。「読後、嫌な気持ちになるミステリー」のことらしい。後味が悪かったり、裏切られた気持ちになるのに、読者を惹きつける魅力のある作品のことを言うそうだ。言い得て妙とはこのことだ。

まさに、この『未来』は、ハッピーエンドでもないので、読後感は冴えない。と言うより、どんよ〜り極まりない。この本の結末で、晴れやかな気分になれたら、余程、変わった性格かもしれない。まさに「イヤミス」。私はどちらかと言うとティラミスの方が好きではある。。

私の場合、小説を読む行為の目的はいくつかあるが、要約すると「小説=娯楽」と考えている。いかに読むのが楽しいかどうかだ。結末に感動して涙するとか、明日から、別人のように頑張るとか、はたまた、人生観が変わってしまうような大それたことなどは求めていない。ただただ、読んで楽しいかどうかだ。

楽しんで読みながら、読後にショックを受けて、しばらく落ち込んでしまうような作品は、私の狭い知識と読書経験の中では、ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』くらいだ。

脱線した。

と言うことで「イヤミス」であり、夢中になって読めることを期待して、湊かなえ氏の作品を3冊も大人買いしてしまった。それもネットの湊かなえランキングの上から選んでだ。もちろん、トップは、あの『告白』なのでスキップ。

今回、買った3冊の内、書店で『ブロードキャスト』『リバース』を買い、わざわざ、アマゾンでランクの上位にある『ブロードキャスト』を買った。あれ?!私のことなので、いまさら、驚かないが同じ本を2冊買ったようだ。やれやれ by 村上春樹。

この『ブロードキャスト』、まさかの「イヤミス」でなく、普通の「青春小説」に、大失敗したか!?と思いながら読んだ。読後、まあまあ満足する。つまり「イヤミス」ではないのだ。この読書感想文は次回以降のお楽しみ!

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