読了『わたしたちが孤児だったころ』by カズオ・イシグロは、良質な睡眠薬?!

(この本は時間掛かるが、この記事はすぐ読める)

こんにちは!

非常に読み終わるのに苦しんだ。特に前半50ページ。数ページ読むと寝落ちしてしまう。読み始めては、数ページで落ちてしまうので、また、最初から読み直しを何回も繰り返した。良質な睡眠導入剤のように。

小説なら100ページを超えると読み終える手応えが出来るのが常だ。ところが、この小説は全部で530ページあるが、250ページ読んでも読了できる自信が持てない珍しい本。さすがに後半の150ページくらいからエンディングまでは、畳み掛けてくるので、一気に読めてしまう。

と言う、ノーベル文学賞受賞作家であり、日本の長崎生まれ、イギリス育ちの作家カズオ・イシグロ氏のデビュー五作目、2000年発表の小説「わたしたちが孤児だったころ」(When We Were Orphans)の感想文。

あらすじ

時代背景は1930年代、舞台は中国の上海租界(外国人居留地区)。その租界にて両親が行方不明となる過去を持つ主人公が探偵となり両親を探すというお話。誘拐と憶測され、それぞれ行方不明となる両親の顛末と親子愛に涙する話でもある。

感想

小説『わたしを離さないで』(Never Let Me Go)は世界感も登場人物もユニークで、いまだに読後のやるせない印象が忘れられない。出世作の『日の名残り』(The Remains of the Day)は、アンソニー・ホプキンス主演の映画は見たが、小説はキンドルで積読になっている。

この『わたちたちが孤児だったころ』の世界感・雰囲気も『わたしを離さないで』に通じる部分あり、冒頭は期待できた。たびたび、寝落ちしてしまったが、読み始めは、これはすごい小説だという予感しかしなかった。

どこが微妙な印象にしたか?

  • 長い、とくに前半はまわりくどい
  • 登場人物は多くないが、キャラが立たないと言うか、誰が誰か分かりにくい
  • 主人公が有名な探偵のわりに捜査がおそ松?
  • 上海租界の基礎知識が足りない
  • で、結局、何が言いたいの?

良かったところは?

  • アキラという日本人の幼馴染との友情の物語でもある
  • 両親が幽閉されている地区に戦火の中、突き進むシーンのリアリティ
  • 後半、黒幕が出てきて、いきさつを語るが、衝撃的
  • 哀しい親子愛の物語である(強制的に離されながらも)
  • 上海租界というユニークなエリアの雰囲気が分かる

面白かったかと言うと、後半部分の畳み掛けてくる部分は、さすがに読ませる。あれだけ、毎回、眠くなったのが、後半は一気読みした。一気読みさせる小説はそうそうないので優れた小説ではある。

一方で、探偵となった主人公の捜査がいまいちだったり、戦果の中、両親も命の危険に曝されている可能性はあるが、冷静さを欠いた無茶な行動が多く、感情移入は困難になる。

主人公と逃避行に出ようとする女性の言葉は示唆に富んでいる。両親を探すという捜査の大詰めだったので、今やっている仕事(両親の捜査は隠している)を投げ出せないと言い張る主人公に対し、

「そういう考え方を捨てないといけないわ。(省略) 二人とも何もできなくなってしまう。あたしたちがここ何年もそうだったみたいに。ただこれからも寂しさだけが続くのよ。何かはしらないけれど、まだ、成しとげていない、まだだめだと言われつづけるばかりで、それ以外に人生には何もない。そんな日々がまた続くだけよ」(和訳原文そのまま)

  • もう一度読むか?積読がたくさんあるから無理。
  • 人に薦める?『わたしを離さないで』を薦める。
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