楠木 建氏の「逆・タイムマシン経営論」とは!?

こんにちは!

自己啓発というか、趣味というか、動向をフォローしている楠木建先生のオンライン・セミナーに参加してみた。正式なセミナー名は【PERSOL CONFERENCE ONLINE 2021】逆・タイムマシン経営論:マネジメントの本質を見極める(一橋ビジネススクール教授  楠木 建氏)だ。

大学教授の楠木先生と社史研究科の杉浦泰氏による共著『逆・タイムマシン経営論』では、副題「近過去の歴史に学ぶ経営知」となっている。難しい副題だが、過去の新聞や雑誌で大きく取り上げられていた話題が、結局、どうなったかを評価する内容のようだ。

さっそく、セミナーのポイントをお伝えする。

【PERSOL CONFERENCE ONLINE 2021】逆・タイムマシン経営論:マネジメントの本質を見極める(一橋ビジネススクール教授  楠木 建氏)

日本的経営の崩壊

当時の雑誌で、日本的経営の崩壊が指摘されたのは45年前の1976年。果たして、日本的経営は崩壊したのか?そもそも日本的経営とはなんだったのか?

400万台クラブ

1998年、自動車メーカーのダイムラーとクライスラーの合併は業界に衝撃を与えた。合併によりダイムラー・クライスラーの年間生産台数は400万台を超えた。その後、400万台の規模を持たない自動車メーカーは生き残られないと言う論調が出る。

結果、フォードは買収を繰り返す。GM(ゼネラルモーターズ)は、いすゞやスズキに資本参加。フォルクスワーゲンとBMWは、ロールスロイスの買収合戦。生産台数の少ない本田技研は生き残れるのかなど懸念された。

結果、合併解消後、クライスラーは破綻。GMも破綻、フォードも買収した会社を手放す。本田技研は依然、トップメーカーのひとつ。

台数がないと生き残れないのではなく、生き残りは経営の戦略次第。台数は結果にすぎなかった。

テクノロジーの進歩で仕事がなくなる
  • 1956年:オートメーション化
  • 1965年:コンピューター開発
  • 1983年:ロボット導入
  • 1989年:SIS(経営情報システム)人気
  • 1995年:インターネット
  • 1996年:ERP(基幹システム)SAPとか
  • 2012年:AI(人工知能)
  • 現在    :DX(デジタルトランスフォーメーション)

毎回、テクノロジーの進歩で仕事がなくなると心配されたきた。本当にそうだったか?

実際には、30年前はSE(システムエンジニア)不足とか、今なら、データサイエンティスト不足と言われている。

「パストフルネス」

「ファクトフルネス」に対抗し「パストフルネス」歴史はファクト(事実)。歴史は変化の連続だが、「本質」とは「そう簡単に変わらないもの」。本質を見極めるスキルが必要。

(メディアの流行り言葉や激しい言葉の)飛び道具トラップに引っ掛かるな!毎年「今こそ、激動期!」と書いている雑誌もある。遠いものほどよく見える。

飛び道具トラップにハマりやすい人:情報感度の高い人、忙しい人(じっくり考える時間がない)、せっかちな人(すぐ成果を求む)、行き詰まっている人、担当者(視野が狭い)、CET(代表取締役”担当者”)、To do リストやアクションアイテム箇条書き大好き人間

(↑ 私のことを言われてる気がする)

最悪なシナジーおじさんは、組み合わせれば良いと思っている。「ビンタしてから抱きしめる」も「抱きしめてからビンタする」も同じ効果と思っているのと同じ

そうならないためには:文脈思考が大事。本質を見極め、戦略ストーリーが語れるかが重要

ファストメディア vs. スローメディア

ネット社会では、読まれる記事が重要→危機感を煽る言葉、バズワード増。情報のコモディティ化に対し、本質を見極める「センス」を磨く必要がある

スローメディアは、じっくり読書の知的トレーニングが王道

半年前の新型コロナの記事などは、早くも「いい味」を出している。5年後、10年後、読み返した時どうなるか?

DX(デジタルトランスフォーメーション)が目的になってはダメ。会社なら、DXで長期的に利益が出せるかどうか。

サブスク、ニュー・ノーマル、ジョブ型雇用などなど、飛ぶ道具トラップになりそうな言葉が溢れている。罠にハマっている経営者の目を覚まさせるには、文脈思考で「何で儲かるの?」と聞いてみればよい。

感想

面白い話題ばかりで、文字道り、あっと言う間の1時間。他にも、サブスクやデジタル化の成功例にNetflix、失敗例に紳士服のサブスクや焼肉屋のサブスクなど面白い話が盛りだくさん。DXとサブスクの世界で成功しているユニークな企業TRUSCO(トラスコ)中山も興味深かった。

新型コロナで、ニュー・ノーマル(新しい生活様式)となり、もう、元の働き方には戻らないなどと聞くが、そんな馬鹿なと思う。5年後には、かなり元に戻っていると思う。もちろん、在宅勤務などは、働き方の選択肢のひとつとして残ると思う。

インタネットやスマホは、我々の生活を大きく変えたのは事実。今後、自動運転とセットでの電気自動車は自動車業界にどのような影響を与えるか?人工知能の活用もどこまで進むのか?5Gなどの通信スピードのアップによる影響も予想できない。脱炭素化の行く末も読めない。

これらの太字もバズワードのようなものかもしれない。楠木先生の言う通り「本質の見極め」が必要なのは分かる。ただ、見極めるためには相当量の知識や情報が必要だろう。そして、それらの情報を消化し、理解し、判断する洞察力がなければ宝の持ち腐れにもなる。

先生持論の「スキルよりはセンスを磨く」必要がある。センスは「知的トレーニング」だけでは得られないから、立派な”担当者”が増殖するのかもしれない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください