こんにちは!
購読している日本経済新聞の土曜日の朝刊「あとがきのあと」とは、新刊の紹介コーナーだ。経済専門紙の新刊紹介など退屈なので、いつも斜め読みだ。読んでいると言うよりは、日経電子版をiPadの画面上、ページをパラっとめくるだけだ。
そのコンマ数秒くらいの間に、たまたま見つけたのがこの本『三十路女は分が悪い』だ。壇蜜さんの読売新聞のWebサイトでの読者からの人生相談を書籍化したもの。
たまたま「女性は心にコスプレを」と言う見出しに注意が行く。紹介文を読んで見ると「真面目な人ほどありのままの自分で勝負したいと考えがちだ」「心のコスプレとは、本来の自分と違うと思っても演じることで、難題をうまく切り抜ける柔軟性を身につけて欲しい」とある。
興味深い。先日、たまたま「素の自分を出せてますか」というエッセー記事を投稿したばかりだ。これは、何か新しい発見があるかもしれないと早速、読んでみた!
『三十路女は分が悪い』by 壇蜜
- 相談編
恋愛、結婚、仕事、将来について、主に30代の女性からの相談を中心に、壇蜜さんがアドバイスをすると言う形式だ。
もし、私が相談の回答者だったらと考えてみた。
相談者が求めているような回答を答えてしまうだろう。また、たいていの相談者は今、どうすべきかと言う短期的な対応のアドバイスを求めている。私は、せっかちな方なので、相談者の希望にも乗っかって、ああしろ、こうしろ的なアドバイスを出してしまいがちだ。
一方、壇蜜さんが重視しているのは、少し時間を掛けること。相談者自身にも成長や変わることを求めていること。相手がいる場合は相手のことを尊重すること。概ね、この3点を軸に回答しているように見える。
また、テクニックとして、冒頭にあったような「心のコスプレ」で、時には弱い自分などを演じることを提案している。さらには、相手の考えや振る舞いが変わるきっかけとなる言葉や振る舞いを示している。
もちろん、他人の性格は簡単には変えられないが、習慣のようになっている悪い部分なら、意識を変えさせることで変えられるかもしれない。
人間関係や恋愛は、しんどいことだけれど、必要に応じ、エネルギーをかけて、自分も相手も変えることを厭(いと)わない覚悟を求めているようだ。河合隼雄先生の『こころの処方箋』の基本的なコンセプトにも合い通じている。
- 半生記編
本著の後半には、壇蜜さんの簡単な半生記が紹介されている。後半の方が面白いかもしれない。
芸能界に入るに際し「壇蜜」と言うキャラクターを設定したこと(心のコスプレ同様に)。どんな仕事でも、ひとつひとつの仕事に丁寧に取り組み、チャンスを得ていったこと。あまり期待はしないで、ダメ元のような形で臨んで行ったことが印象的だ。
かなり賢く、したたかな部分がある。普通の人なら、手の平の上で簡単にコロコロと転がらされかねないと思う。単細胞な私なら、そうなる自信がある。
感想
相談者が求めていた回答ではないかもしれない。それでも、現実的でありながら、ある程度の覚悟を持って人間関係を変えさせようとしている場合もある。
相談者が実行するのは簡単ではないアドバイスも多いと思う。それでも、人間関係も人生も、そもそも簡単ではないのだから、立派なアドバイスをされていると感じた。とても真似できない。
それにしても、旦那さんである漫画家の清野とおるさんは、お似合いな気がする。1人でいることが好きな壇蜜さん。なんとなく透明人間のような清野氏。


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