こんにちは!
何も用事がない日曜の午後は、行きつけのホットドックとコーヒーとビールのお店「John John」に行く。1ヶ月くらい真面目に本を読んでない気がする。読みそうな本はないかとKindle(キンドル)のライブラリーを漁る。
「細胞の分解の話」とか「脳の不調の直し方」とか、なんと「古事記」が積読になっている。どれも読む気が起きない。なぜなら、このお店のハイネケンの生を飲み始めているからだ。
たまたま、Kindleの中のオススメの『スティル・ライフ』に目が行く。なんと芥川賞受賞作の大御所の作品だ。池澤夏樹氏の作品は一冊も読んだことがない。ページ数も短く、お値段も400円なので、早速、ダウンロードして読むことにした。もちろん、ビールをちびちびではなくグビグビ飲みながら。
静かな生活の『スティル・ライフ』池澤夏樹著
概要
1987年発表。第98回芥川賞と第13回中央公論新人賞を同時受賞。始めてワープロで書かれた芥川賞とのこと。今なら、どの作品が最後にワープロで書かれた芥川賞なのだろうか?もしくは、スマホで書かれた芥川賞はないのか。
池澤夏樹氏は埼玉大学の理工学部中退の理科系。理科系らしい内容が出てくる。理科系の村上春樹とも呼ばれるような文体らしい。
あらすじ
すごくシンプルに書く。染染色工場で働くアルバイトの男性2人の物語。主人公のぼくは、アルバイト先でのミスを佐々井に助けられたことから、時々、飲むようになる。佐々井はミステリアスな人物で個人の情報などは話さない。
ある日、この佐々井から頼まれたのは3ヶ月間の株式投資の手伝いだった。すべて佐々井の指示で投資を行う。なぜ、佐々井はこれだけの資金があるのか、なぜ、佐々井はお金を増やす必要があるのか。
期限の3ヶ月が経った時、二人の間に起こったことは?!
感想
缶ビールで3缶程度を1時間くらい掛けて飲む。その間にこの小説も読み終わる長さだ。透明感あり、現実の話でありながら非現実的な雰囲気、少ない登場人物、無機質な世界を感じながらも、淡々と読み進み終わってしまった。その瞬間、思ったのは、ブログで感想書けるかな?
さらっと読み返してみる。主人公二人の会話などは村上春樹風かもしれない。大きな違いは主人公の相手となる女性が出てこない。ジャズやクラッシクや洋楽など音楽がない。村上春樹の物語の定番の女性とのシーンもない。理科系の村上春樹「風」というのが正しい形容かもしれない。
この小説は、併存する世界や併存する二つの人格が描かれている。謎めいている主人公の友人佐々井は、普通の二重人格ではなく、もっと果てしない昔や宇宙のような距離を感じられるような人格を持っている。
謎めいた宇宙の世界のような詩で始まり。現実的な工場でのアルバイト、謎めいた会話もあるが、最後は、かなり現実的な株取引やある事件の話になっていく。最後に、佐々井はどうなってしまったのだろう?いつの間に、壮大なミステリ−の世界に引き込まれていることが分かる。
この年代の芥川賞作家では村上龍氏が有名と思う。個人的には彼の止めどを知らない熱量や溢れ出す感情による圧倒的な世界観の方が、疲れるが好きだ(芥川賞受賞作の『限りなく透明に近いブルー』は1976年の作品)。
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