すごく静かで激しい映画「ショート・ターム」

こんにちは!

すごく静かで激しい映画を見た。邦題は「ショート・ターム」(原題 Short Term 12)。96分と短い映画なので2日続けて見た。心にひどい傷を抱えながら、一生懸命、同じような境遇の子供のために生きている人の映画だ。

すごく静かで激しい映画「ショート・ターム」

概要

2013年。デスティン・ダニエル・クレットンの実体験に基づく短編映画を原作に、同じく、クレットンが脚本・監督。主演は、ブリー・ラーソン。問題を抱えるティーンエージャーのための施設でのケアマネージャーの奮闘とケアマネージャー自身の苦悩を描いている。

あらすじ

親からの虐待などの問題を抱える18歳未満の少年少女をケアする施設が舞台。ケアマネージャーのグレイス自身、父からの虐待がトラウマとなっている。恋人であり同僚でもあるメイソンもメキシコ人の里親夫婦の元で他の孤児と一緒に育ててもらった。

施設には、母親の虐待に苦しむ黒人少年のマーカス。グレイス同様に父親の虐待を受けている少女ジェイデン。亡き?妹の代わりに人形を手放せない少年などがいる。

主人公はケアマネージャーであるグレイス。彼女は、少年や少女の目線まで降りて、彼等の気持ちに向き会うことができる。彼女自身も人生の次の段階に進む時が来ている中、彼女への虐待の罪で服役中の父の仮釈放が近づく。

たまたま、彼女と同じような境遇の少女ジェイデンの世話をしているうちに、他人事ではなくなるグレイス。フィアンセであるメイソンにも彼女の心の傷は打ち明けられない。一人苦しむグレイス。そのような中、退所が近いマーカスの自殺未遂や、ジェイデンの狂乱や逃亡などトラブルが続く。グレイスは自分を取り戻すことが出来るのか?!

感想

静かではあるが、重い映画である。一度、見ただけでは、主人公のグレイスの苦悩の全容はつかめないかもしれない。彼女自身、トラウマとなっている父からの虐待の過去がある。

フィアンセも里親の元で育った。このような境遇で育った経験があるからこそ、つらい状況にある少年や少女に真正面から向き合えることができるのかもしれない。まるで、本人と同化するくらいに向き合ってしまうのがグレイスだ。

彼女自身、父から受けた虐待によるトラウマの影響が大きい。最愛のフィアンセの揺るぎない優しさ。同じような境遇の少女ジェイデンを助けているうちに、自分自身を取り戻す彼女を応援してしまう。

トラウマから、自身が親になることに踏み切れないグレイスに対し、最後に彼女の背中を押したのがジェイデン。少年や少女を助けながら彼女自身も彼らから救われている。

両親から普通に愛情を受けて育った私には、彼らの苦労や苦悩は分からないかもしれない。それでも、問題を抱える少年や少女に真剣に向き合うグレイス達の活動を見て、幸せとは何か、人生の充実とは何かを考えさせられる映画となった。

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