こんにちは!
久々に映画館で映画「ノマドランド」を見る。先日、DJのピーター・バラカンさんがオススメと言っていた。公開終了になりそうでヒヤヒヤしながら金曜の夜、滑り込んだ。彼のオススメはドキュメンタリーやイギリス映画が多いが、今回は珍しくアメリカ映画。ドキュメンタリーのようなフィクション。今年のアカデミー賞候補だそうだ。
アカデミー賞候補は車上ノマド対決?!「ノマドランド」
概要
「ノマドランド」(原題Nomadland)。2020年公開、108分。アメリカで何万人もの人々が家を持たず車で放浪するノマドの生活を描いたノンフィクション『ノマド 漂流する高齢労働者たち』by ジェシカ・ブルーダーが原作。
「ファーゴ」でアカデミー主演女優賞を獲得したフランシス・マクドーマンド(今回、主演)とピーター・スピアーズが制作。彼らがこの原作の映画化権を得て、中国出身の女性映画監督クロエ・ジャオに脚本、監督を依頼したそうだ(英語版のウィキペディアより)。
クロエ・ジャオ監督の作品では2017年の「ザ・ライダー」も異色作。
あらすじ
あらすじを書くのが難しい。リーマンショック後の2011年が舞台。失業、倒産、離婚など様々な理由で車(寝泊まりできるRV)での生活を強いられてる人々がいる。映画の中で主人公は、自身をホームレスではなハウスレスという。季節ごとにアマゾンの配送センターや農場などで広大なアメリカの各地を転々としながら生活する。
主人公は夫との死別後、車での生活を選ぶ。同じ、ノマド生活者の支援を得ながら、その自由な生活に魅了されていく。
感想
この映画の車でノマド生活をしている人々を見る限り、貧困による相当、過酷で孤独な生活に見える。一方、企業や組織や更には家族にも縛られることなく、好きな場所で寝泊まりする自由も感じられる。アメリカの広大な砂漠や自然の中で生きている。
都会で忙しくしている人では得られないような自然界のエネルギーも受けているようだ。もしかすると彼らの方が、普通に家で暮らしている人々より、生きている実感があるようにさえ感じてしまう。
自分自身、出不精なので、ほとんど旅行しない。これほど、大自然に触れていないのは、人として不幸なことではと思い落ち込む。それでも、自由はあっても、病気や怪我や車の故障でも命取りのような生活に魅力は感じられない。
この映画で驚きなのは、主演女優のフランシス・マクドーマンド以外のキャストは、ほとんど実在の車でのノマド生活者。本名のままで出演している。実際に主演女優も彼らと生活を共にしながらの撮影だったらしい。時々、この映画はフィクションなのかドキュメンタリーなのか分からなくなるくらいのリアリティがある。
アメリカの都市部には、いわゆるホームレスもいると思うが、郊外や大自然の中では、ホームレスになっても車なしには生活できない。遊牧民というノマドというよりは、ハウスレスが正しい定義のような気がする。
数々のアメリカの大自然の映像が美しく、それだけでも、映画館で見る価値がある映画だった。
アカデミー賞どうなる?
個人的には「サウンド・オブ・メタル」がアカデミー賞と思い込んでいたが、この映画を見て気が変わる。「ノマドランド」のスケールの大きさやリアリティ、人間の生き方について考えさせられてしまった。このふたつの映画、唯一、共通点がある。主人公が両方共に、RVで寝泊まりし旅をする車上生活者だ。


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