うらやましい仲間たち!『しゃべれどもしゃべれども』

こんにちは!ひろさんかくです。

佐藤多佳子さんといえば『一瞬の風になれ』が大好きで、先日『黄色い目の魚』を読み、今回は『しゃべれどもしゃべれども』を読んでみた。『一瞬の風になれ』を10年くらい前に読んで感激したのに、他の作品に手を出すまでに、なぜ、これだけ時間がかかったのか、よく分からない。

個人的には『一瞬の風になれ』>>『しゃべれども』>『黄色い目の魚』のランキングだが、必ずしも『黄色い目の魚』が他の作家の代表作と比べ、大きく劣るとは思っていない。私の乏しい文学人生と経験から培われた好みに、佐藤さんの作品がよく合うのかもしれない。

『しゃべれどもしゃべれども』佐藤多佳子著

概要

噺家である主人公を中心に、いまひとつ、日常生活がうまく行っていない、また、それぞれ微妙に欠点のある、多少、変り者である仲間たち4人が集まる。彼らは、落語を習うことで、今の状況から一歩抜け出し、自分自身も変わりたいと思っているが、一人ではそこまでやりきることが出来ない面々だ。そして、主人公である噺家も似たような境遇に追い込まれている。

感想

本作品は落語小説ではない。落語に関する説明の場面もあるが、落語を知っていないと話が分からなくなるようなことはない。ただ、すごくもしかすると、私が本作品に手を出すのが遅くなった大きな理由のひとつは落語にあまり興味がなかったからかもしれない。数ヶ月前から、落語に感心を持つようになった結果、今回、躊躇なく手に取ったようだ。

この噺家を中心とする落語を練習するグループがうらやましい。それぞれがそれぞれを気にかけ、きっと、一人ではここまで乗り切ることはできなかったのが、このメンバーや噺家の支えもあり、各自、新たな一歩を踏み出すことができるようになる。このようなメンバーが欲しいと心から思った。

本作品の落語としてのクライマックスは、小学生である少年が落語で、クラスの番長角を笑わせるシーンである。まるで、その場面に一緒にいるかのような臨場感を味わえる。

また、黒猫と呼ばれるヒロインは、気が強い一方、どこか壊れそうで目が離せない。ハッピーエンドでは、こちらまで本当に嬉しくなってしまう。

この作品のメッセージはなんだろう?多少、変り者であっても、一緒に頑張る仲間がいれば、お互い影響を受けて、前を向いて取り組んでいけると言うことなのか。個人的には、噺家を中心とするこのようなグループに入りたい、作りたいと思った。そういう意味では、私のこれからの儚い人生に少なからず影響を与える作品になるかもしれない。人生に影響という意味では、とても感動したが、さほど影響を与えていない『一瞬の風になれ』より、本作の方が優れているのかもしれない。

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