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こんにちは!
昨年、テレビで取り上げられ「HSP」という言葉が一般的になった。HSPとは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略。生まれつき「非常に感受性が強く敏感な気質を持った人」を指すそうだ。HSPの特徴や詳細はネットに溢れているので、ここでは省略する。
番組で取り上げられた後、まるでファッションのようにテレビタレントが「自分もHSP」と次々と告白していた。その多くは、光、音、匂い、痛みなど知覚に敏感な人だった記憶がある。その時は、HSPのつらさとして、何か違うような違和感を感じていた。
私自身、この言葉(HSP)を聞いたのは3年くらい前、会社の勉強家の人事担当から。非常に浮き沈みが激しいスタッフの扱いについて、相談した時だった。
例えば、そのスタッフが、初めてのプロジェクトにビクビクしながら参加した際、ベテラン・メンバーから、もう少し、積極的に取り組むべきとアドバイスを受ける。翌日から、会社を休みがちになる。厳しい叱責を受けたと思い込み、立ち直るのに何ヶ月も掛かった(実際には、これが会社を辞めるきかっけになった)。
逆のケースでは、本人が憧れる仕事を視察する機会あり、しばらく、自分がいかに感激したか、繰り返し話し続けたこともあった。当時は、周りの者は、それほど感激するものかと不思議に感じていた。
HSPと関係あるか分からないが、このスタッフともう一人(敏感傾向あり)が、職場で机を並べて座っていた。職場のレイアウトは、よくある「島」と呼ばれる机の配置だ。
たいてい、机を5,6個向き合う形で横に並べ、ひと島10人〜12人座るパターンだ。この島が、職場に何列もある。人は島と島の間を通路として行き交う。もちろん、安全や職場環境を意識し、通路のスペースは十分取られている。
私はその島ではなく、窓側のマネージャー用のデスクに、一人ポツリと座っていた(窓際族とも言えなくはない)。コピーやトイレに行く時は、この通路を通ることになる。
私が立ち上がり、その通路に向かうことが分かった瞬間、その二人はビクッと椅子を引いて、通路を広げる動作をする。もちろん、用を済ませ戻ってくる時も、面白いようにピクッと椅子を引く。どんなに忙しく仕事をしていてもだ。
彼らの感度の高いアンテナが、常にピンと張り詰めていることが分かる。私が島に座っていた頃はどうだったか?
たぶん、通路は十分スペースが確保されていることを知っていたから、必要以上に、人が通るたびに、椅子を引くような動作はしなかったと思う。
姿勢も行儀も悪いので、椅子に全身を預けるような格好をしている時や、尋常ではない巨漢が通るような時は、臨機応変に対応していたと思う。ただ、仕事や会話に集中している時は「失礼」と声を掛けられるまで気が付かない。つまり、非常に鈍感で気まぐれなアンテナを持っている。
彼ら二人が、いつも、ピクッと椅子を引く動作を見て、一日中、これでは疲れるだろうなと思っていた。それでも、周りに迷惑をかけないように、24時間高感度のアンテナに支配され、必死に頑張っている彼らを「大変だろうな」と思いながらも「頑張れ〜」のような気持ちで見ていた。
コロナで、もはや、こうして、みんなで机を並べて働くことはなくなってしまった。過敏な人たちは慣れ親しんだ自宅からの在宅勤務で、神経的に負担が減っているのか。それとも、人に見守られること無く、オンラインやメールだけで業務が、次々、進む中、戸惑ってはいないか。分からない。
在宅で見えないからこそ、確実に言えることは、彼らのようなタイプは、より気を配らないといけない状況にあると言うことだ。
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