面白い!芥川賞『蹴りたい背中』by 綿矢りさ

こんにちは!

とうとう、1週間で5冊!もの芥川賞受賞作を読むと言う偉業を達成した(どれも短めの作品)。しかも、5冊目にして、とても楽しめる作品に出会えた。それは本の選考基準を少し工夫したからかもしれない。

選考基準はシンプル「芥川賞 ベストセラー ランキング」と検索するだけ。歴代ミリオンセラーは4冊。1位は又吉氏の『花火』、2位は村上龍氏の『限りなく透明に近いブルー』、3位は綿矢りさ氏の『蹴りたい背中』、4位は柴田翔氏の『されど我らが日々ーー』。

上から読んだことがない『蹴りたい背中』を選ぶ。『限りなく透明に近いブルー』30年前くらいに読んだのでパスだ。4位は結構、当時のポリティカルな状況が反映されている作品の様子・・・

面白い!芥川賞『蹴りたい背中』by 綿矢りさ

概要

『蹴りたい背中』は2003年発表。金平ひとみ氏の『蛇にピアス』と芥川賞同時受賞、かつ、綿矢りさ氏は19歳で最年少記録を更新。金平ひとみ氏も20歳と、非常に若い女流作家2名による受賞で話題になる。

綿矢りさ氏のデビュー作は『インストール』は高校生(17歳)の時に書いたもの。他に『勝手にふるえてろ』『私をくいとめて』など映画化されている。

あらすじ

主人公は女子高校生の「ハツ」、クラスメートでオタクな男子学生の「にな川」、ハツの中学時代からの友人「絹代」が主な登場人物。

ハツは教室でも陸上部でも、グループに属することを好まない。グループ内での作り笑いや駆け引きのようなことを毛嫌いする。それでも、孤立し、昼食を1人で食べることにはストレスを感じている。

オタクのにな川は、モデルでありミュージシャンの大ファン。家でも学校でも孤立している。望んでそうなっていると言う訳ではない。そのモデルへの強い執着心で、他への興味を失っているようだ。

理科の実験で好きなもの同士で班分けする際に、あふれるハツとにな川。たまたま、にな川の好きなモデルに会ったことがあるハツは彼から誘われる。

自宅に招かれても、彼の興味はモデル。肩透かしを食った形のハツはにな川のことが気になるようになる。機会あれば、グループに誘う絹代だが、ハツは拒否し続ける。

モデルのライブに行くことになる3人。モデルに固執するにな川と、そんな彼を見続けるハツ。その様子から、絹代はハツがにな川に想いがあることを指摘する。

ハツの本当の想いはなんだ?モデルに夢中のにな川に背中を思いっきり蹴り倒したい衝動を持つハツ。そんな高校生の日常を描く。

感想

面白いと思った。なぜか?最初の1ページ目は頭に入ってこなかった。セリフでも主語が取りにくい箇所がある。デビュー2作目だからか?荒削りと言って良いのかもしれないが、読ませる力を感じる。

読みながら、先日、見た映画「私をくいとめて」の世界観に似ていることにも気がつく。主人公は、グループや会社の同僚とかに囲まれるより、自分の世界を大切にしている。この物語では描かれていないが、ハツも自身の中にある別の人格と会話を続けているタイプではないか。

にな川がハツ見向きもしないことをハツは気に入らない。クラスで独立(孤立)している唯一の存在として同志のように思っている。ハツに恋愛感情があるかは最後まで分からない(と私は思った)。

この年齢なら、好き嫌いと、関心有る無しの差はないかもしれない。一瞬で、関心あるが好きになるだろうし、関心あるが嫌いになることもあるだろう。。。

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