こんにちは!
アメリカで夕飯を作る時は、ステーキや魚を焼く。赴任した当時、長期滞在用のホテルで、得体の知れない白身魚を焼いたところ、煙が異常に発生し、部屋中に生臭い匂いが染み渡ったことがある。
それ以来、魚はサーモンだけにしている。比較的、生臭い匂いが弱いからだ。
単身赴任のアメリカ駐在員あるあるだが、日本とのオンライン会議が夕方から夜まで続くので、夕飯の時間を確保するのが課題になる。私の場合、デフォルトで毎日、30分は夕飯の時間をカレンダーに設定してある。
その30分の中で、料理して食事しないといけない。基本、手間が掛かる料理は難しい。
たいてい、大皿に、レタス、キャベツの千切り、あらかじめ茹でておいたスナップエンドウを盛り付ける。そのメインに、やけに安いステーキかサーモンを焼く。
この他にインスタントの味噌汁に増える乾燥わかめをトッピングしたものと、時間があると、かぼちゃ、にんじん、キノコをレンジでチンして、出し汁を掛けただけの温野菜も付ける。
問題は、ステーキが分厚くて焼くのが大変なことだ。今回は、写真のような、カットされたTボーン・ステーキだ。とにかく厚い!サラダや味噌汁を用意している合間に焼き続ける。どうしても火が通るのに時間が掛かる。
表裏とひっくり返して焼くが、いつの間にか、部屋中に煙が充満している。窓を開けるのを忘れていたのだ。
慌てて、全ての窓を全開にするが、煙が出ていかない。キッチンから近いのは、アパートの廊下に通じるドアだ。恥ずかしいが、これも全開にして煙を通路に逃す。
やれやれと思っている間に、心臓が止まるくらいのけたたましい音で全館に火災警報器が鳴り響き始める。震源地は私の部屋だろう。どうして良いのか分からないが、とりあえず、廊下へ開け広げたドアをこっそり閉めて様子を見ることにした。
部屋から外を見ると、意外に真面目なアパートの住民が数十人も避難を始めている。あっと言う間に、中庭にはそれなりの集会のような人の集まりができている。まずいぞ、彼らから、私の部屋は丸見えだ。この涼しい季節に意味不明に窓を全開しているので、この火災事件の犯人にされてしまう。
まだ、火災警報器は全力で鳴っている。この世の終わりか、宇宙人襲来かと言うくらいの緊張感ある音量だと感心していると部屋を激しくノックする音が聞こえる。開けると、アパートのメンテナンスとかを担当している男性が、キッチンを指差しながらやったな?と言う表情だ。私も「んだんだ」と激しくうなずく。煙を逃すために、通路側のドアを開けたことを白状する。
この男性、煙の沈静化が最優先のようで、土足!で私の部屋に入り込み、すでに空いている窓を次々と開いているかチェックに掛かる。最後に、料理で煙が出ても、廊下には逃がさないでくれ、廊下の警報機が敏感なんだ!と叱られる。
その数分後、火災警報器も静かになり、夕飯を食べようと思った矢先、中庭に巨大な車が見える。日本のそれとは桁違いの要塞のような大きさだが、消防車だった。無意味だが、窓陰にこっそり身を隠したことは言うまでもない。
冷めてしまうぞと、すでに始まっているオンライン会議に接続しながら、ステーキにガブリと噛み付く。中はレアレアの生焼けだった。
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こんな事件が起こる根本的な原因は、私が住んでいる、新しくて、それなりの家賃のアパートでも通風孔がないことだ。システムキッチンなので、パワフルな換気扇はついているが、たとえ回しても、そこから吸い上げる煙はそのままシステムキッチンの上の方の隙間から部屋に逆流するだけだ。
入居する際に不動産屋さんから、何か焼く時は、必ず窓を開けるように聞いていたのだが、サボった私が悪かった。
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