こんにちは!ひろさんかくです。
先日、『わたしの渡世日記』上巻の記事にて、今年読んだ本で一番と紹介した。下巻は多少、親子関係などを起因としたストレスも高まり、多少つらい部分もあったが、今年読んだ本で一番の座は、今の所、ゆずっていない。と言っても、月に何十冊も読むような読書家ではないので、今年一番と言っても私の極めて狭い世界での話だ。
今後の私の読書活動は、キンドルに積読(読書中も含む)の『投資家みたいに生きろ』『スッキリ中国論』『なぜ「これ」は健康にいいのか?』『THE THIRD DOOR』と、比較的、実用的な本ばかり並んでいる。つまり、今年一番にはなれなさそうな本の集まりでもある。
決して、これらの本がつまらないとか、ためにならないとか言うつもりはないが、きっと、今の私は、どちらかと言うと『わたしの渡世日記』のような自伝や人生ものを欲しているようだ。
人生記であり、戦前戦後の日本、映画史も学べる『わたしの渡世日記』高峰秀子著
概要
前置きが長くなったが、タイトルにも書いてある通り、戦前に生まれ、子役から女優として成功。さらには、この本を読んでも分かるように、エッセイストとしても活躍された一人の女性の波乱万丈の半生記である。波乱万丈という言葉では不十分なくらい、映画やドラマの世界以上の並外れた人生を垣間見ることができる。
それに加え、戦前から戦後の平均的か、もしくは、少し生活に苦しい一家の一般的な日常や当時の家族感のような日本風俗史をも学べる。
さらに、戦前から映画界で子役で活躍した女優としての成長の記録でもある。と同時に、日本映画界の発展、紆余曲折の歴史を、映画監督や脚本家など著名人の人となりまで間近に触れられる。日本映画産業黎明期からの発展と衰退の貴重な歴史書でもある。
もう一つおまけに、好奇心旺盛で、社交的(?)、交友範囲が広い著者の画家や作家などとの交友関係まで見てとれる。上下巻の長い物語ではあるが、一粒で二度どころか、何粒もおいしい、損はさせない読み物である。
感想のような概要の続きのような感想
昭和50年代に書かれた本。文章、表現力が並外れて優れている。子役という事情から、十分、学校で教育を受けていないものの、多くの読書と、各界の著名人との交友から耳で学んだそうだ。
座学で得た以上の知識と洞察力から、戦前、戦後の世の中のドタバタが、まるで、眼の前に今、繰り広げられているように描かれている。その描写力に、読む方は、どんどん物語(半世紀)の世界に引き込まれていく。
また、本人のあっけらかんとしながらも、潔い堂々とした強い性格が読んでいて頼もしく感じる。実際には、こじれた親子関係もなかなか、正すことできず、途中、つらくなり、フランスへ逃亡もする。必ずしも、強い人間ではなく、普通の一人の人間の半世紀でもある。
父親が離婚、再婚、子だくさん。その中で、結婚して子供のいない父の妹の養子になるが、その母も離婚。二人きりになるところを、当時、一族を助け合う意識が強く、女優として大成した娘が一族の稼ぎ頭となる。
母親の見栄もあり、父方の兄弟や父夫婦などに手を差し伸べ、常に誰かが家に居候している。少しつづ、母親から、金づるになったり、女性としてライバル視されたり、娘として扱われることがなくなり、真の愛情を感じられるような親子関係ではなくなる。
なぜ、この本が面白かったのか?
筆者をうらやましいと思ったからかもしれない。インタネットだけでなく、十分、電話もない当時、直接、家にお邪魔したり、泊まったりするのが一般的な人との交流。女優として、女優や脚本家から、画家や作家など仕事仲間以外にも、交友関係が広く、いろいろな人に可愛がられ、また、面倒を見て生きている。
他者との、人と人との強く濃い人間関係がうらやましい。直近で投稿したしあわせになるためのTed xでのプレゼンのように、必須の条件であるハイクオリティな人間関係を多数築いている。

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