「コンビニ人間」by 村田沙耶香 を読んだ感想

convenience store

こんにちは!ひろさんかくです。

2回くらい書店で買うべきか迷いながら買っていませんでした。パッと見、コンビニを舞台にした退屈な話のように見えたので(芥川賞受賞作に対し、恥知らずの上から目線でごめんなさい)。

今回、実際に読んでみてびっくり。こんなにハマるなんて思わなかった。160ページくらいの文庫本ですが、2時間、トイレに行くのも我慢して一気に読み切りました。

私は小説を読むと、一瞬、現実逃避できたり、今回のように没頭できれば、読後はすっきりした気持ちでストレス発散にもなるので、ときどき、本の世界に逃げ込みますが、読んでよかったです。

「コンビニ人間」by 村田沙耶香

私の解釈も含みますが、ネタバレにならない程度に本の内容を軽く触れます。

主人公は学生時代から18年間、コンビニでアルバイトとして働く古倉さんと言う30代後半、独身の女性の物語。幼少より普通の人とは違った感覚を持っており、なかなか学校や社会には馴染みにくかったが、コンビニで働く(部品になる)ことは唯一、快適と思っている。

本人は必ずしもそう思っていないが、「普通」ではないこと(よい歳なのにアルバイト、独身)に対し、知り合いへ理解してもらうよう説明することに疲れてきている。

一方、似たような境遇の白羽氏。独身男性、無職。恋愛経験なし、仕事も夢ばかり追いかけ、実際は何もする気がない。プライドだけは高い。

白羽氏の言う現代は、縄文時代から何も変わらず、男も女もムラにとって有益かどうかが重要。狩りで獲物を取り子孫を残せるかどうか。その「普通」のことができない人間は、徹底的に異端児扱いされる。白羽も古倉も異端児。

そんな二人が出会い、世の中に溶け込もうと、最低限「普通」であるフリをしようとした時、主人公の取った行動は。。。

「コンビニ人間」を読んだ感想

この作品では、現代社会におけるいくつかのセンシティブ(過敏)な課題に対し、実際、こうですよねと問題提起をしているように感じました。私が感じただけですので、人それぞれ感じ方は違うのでいろいろな意見があると思います。

1️⃣ビッグデータ、AI(人口知能)の活用が進む中、人間に求められている役割とは

コンビニの店員の業務はマニュアル化されていますが、マニュアルでも、AIなどのコンピュータでもカバーできない部分を人間が支えており、その部分がサービスの差別化につながっているのではないか。人が支える血の通ったサービスの本質というものは消えてなくならないのでは。

まさに主人公が店舗の中でコンビニからの声が聞こえてくると、瞬時にやらないといけないことを列挙するシーンがありますが、彼女だけが特殊ではなく、日本のサービス業の品質は、結局は、彼女のような店員の質が支えているのでは。

だからこそ、彼女がコンビニに戻り、快適さを感じるのは、本人は部品の一部と卑下してますが、コンビニというビジネスを下支えしている重要な機能だからなのではと思いました。

2️⃣現代社会においてLGBT(性的少数者)など多様性を認めている中、一般的に世の中で求められている「普通」とは

独身、無職は「異常」で、家庭や定職を持つことが「普通」。LGBTへの配慮は忘れてはいけないですが、少数ではない人にとっての「普通」の定義は、白羽氏が言っているように縄文時代から変わらないというのは的外れではないと思う。

ただ、少数ではない人の中でも、その「普通」の価値観を理解できない人もいれば、真剣に望んでいても手に入れられない人もいる。このような人たちへの配慮も忘れてはいけない。

無遠慮な「そろそろ結婚しないの」「まだ、子供できないの」「いい歳して定職も持たないでどうするの」という言葉を発せられるのは、この「普通」が実現できている人だけなのでは。

3️⃣発達障害等への理解と差別とは

今なら、この主人公のようなケースは、小学生の段階で発達障害などと診断される可能性もあると思います。医学が進歩し「普通」のことに順応できない場合の原因/症例として、病名がつくことはよいとして、治るということは、どう言うことなのか。

この物語でも、主人公は、まだ治らないのと妹から責められますが、治すべき病気なのか、個性なのか、私にはわからないです。

 

まだ、他にも重要なメッセージをもらしていそうです。上に書いた3点も時間がたったら、別の見方、考え方も出てくるかもしれない。シンプルなストーリー、物語の背景、登場人物にもかかわらず、読者が何を感じたのか問いかけてくる、考えさせられる、とても楽しい読書体験をしました。

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