短いが長い芥川賞受賞作『乳と卵(ちちとらん)』川上未映子著

こんにちは!

読書が止まらない。しかも、芥川賞しばりの短編。今日は川上未映子氏の『乳と卵』。えっ!と驚くくらい薄い文庫本だが、大きな落とし穴が隠されている。それにしても芥川賞の選考基準というのは何なんだろう。読めば読むほど分からなくなる。

短いが長い芥川賞受賞作『乳と卵(ちちとらん)』川上未映子著

概要

川上未映子氏は大阪出身のミュージシャン。2008年に『乳と卵』で芥川賞を受賞。『乳と卵』は文庫本で107ページ

あらすじ

登場人物は3人の女性。大阪に住む40歳のホステスであり母であり姉。その妹は東京に住み、この物語の語り部。姉の娘。姉と娘が夏休みに、東京の主人公の家に泊まりに来た数日間が舞台。早くに離婚したため、娘は父を知らない。

シングルマザー、生活苦しく、負い目があり強く出られない母。母を軽蔑するような感情もあるが、心配している気持ちを持っている思春期の娘。ちょっとしたことから、筆談でしか会話しなくなる娘。

娘は苦労している母を見ながら自身は子供は絶対に産まないと誓う。理由、目的は分からないが、豊胸手術を検討している母。その間に挟まり、それぞれに寄り添いながら、踏み込むことはできない妹。

クライマックスは、豊胸の相談に行って、遅く、酔って帰ってきた母に対し、感情を爆発させる娘。その後、親子はどうなる?

感想

何日か前に、ブログとかネット向けの文章術として、私が普段意識しているポイントを紹介した。そのポイントの真逆のような文体だ。ひとつの文が長い。文庫本の1ページ丸々が一文かと思うくらいに長い。改行や段落替えもほとんどない。

読点「、」は使うするが、句点「。」を使い惜しんでいるのかと思うくらいに使わない。しかも、この物語では妹が大阪弁の話し言葉そのままを文章化している。

たしかに、日常の会話で、ネット向けの文章術のように、一文一文を短く区切るような話し方はしないだろう。

例えば「今日は出掛けた。」「天気は夏日だった。」「赤坂でランチを探すが見つからない。」と言う具合だ。普通の話し言葉なら「今日、出掛けたんだけど、夏日で熱くてさ、赤坂でランチをと思ったんだけど、これがなかなか良い店が見つからなく、」みたいに話していると思う。

この小説では読点「、」の数も絞る一方で、大阪弁の話し言葉なのでひろがなが多い。結論から言うと、読みにくい。慣れるまでに時間が掛かる。慣れずに脱落する人もいると思う。そこが芸術的な部分として評価されているのかもしれない。

107ページとはいえ、改行、段落替えなどスペースがないので、1ページが文字で真っ黒に埋まる。結果、想定以上に読むのに時間が掛かる。2時間以上掛かった。前半は脱落危機も度々訪れる。短いということが読み続けるモチベーションだった。

面白かったか?分からない。思春期の娘と母の母子家庭の感情が生々しくリアリスティックに描かれている。ある日常の断片を切り取ったかのようだ。それでも、読んでいて楽しくはない。結末もワクワクしない。

芥川賞とはいえ、自分の好みに合っているかどうか、読む前に、少しでもチェックしておけば、もっと読書が楽しめるだろう。

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